2005/11/06

地域教会の戦略をつくる

 C-BTEのカリキュラムは非常によく出来ていると思う。「聖書神学」の研究にしっかりと基づいている。今回の4週間のカンファレンスでは「基本原則」「使徒の働き」「パウロ書簡」は駆け足で学んでいる訳だが、実際には「聖書全体を網羅した上での初歩の教え(=基本原則)」、「初代教会の拡大と確立の鍵(=使徒の働き)」、「地域教会の確立のための戦略(=パウロ書簡)」という学びになっている。そこに、「パラダイムシフト」と「実際の状況にあわせた戦略の作成」というものが組み合わさっており、非常に実践的・具体的な学びである。「神学」は、教会の働きと独立して存在するのではなく、まさにその中核をなすものである、ということがはっきりと感じられた。

 「使徒の働き」の学びの中で、地域教会の戦略を作る時のプロセスへの提案があった。
1. まず「宣教の哲学」を明文化すること。つまり、私達がどこに立っているのかという聖書理解を明確にすること。
2. 戦略を作成するための基本的がガイドラインを作成すること。
3. 自分の教会の置かれている場所での様々なコンテクストにあわせて、具体的な方策を考える。

このプロセスは非常に助けになると思う。なぜなら、どこが柔軟に変えてもよい部分で、どこは変えてはならないかという事をはっきりさせるからだ。もし、哲学の部分(=聖書理解)に関連するところに対してチャレンジを受けたとしても、そこを変える為にはもう一度、神学的な作業をきちんとおこない、徹底的な議論を尽くして(考えつくして)からでないと、手を付けることはできない。根本的な部分がフラフラしていては、何も築き上げられないからだ。


自分達で作らなければならないとは言え、Oakwood Road Churchの宣教戦略は非常に参考になる。

◆ガイドライン(一部要約)

  1. 「使徒の働き」と「使徒の書簡」に記された教会形成の基本原則に基づき、地域教会の確立のために働く。
  2. 「忠実であり、託された物(健全な生活、健全な教え)を受け継いで行く事ができる」と認められた人が、適切な訓練を受け、実際に他の人にも教える事が出来るようにするための計画を作成する。
  3. 神が「大きく開かれた扉」を通してのみ与えてくださるミニストリーの機会に、長老達に信任された成熟したチームをによって応答する。
  4. 「使徒の働き」で言われている「宣教の働き」に、「戦略的な地域への宣教」「新しい信者を適切に導く」「地域教会の確立」「地域教会への励まし」「サイクルが伝播され増殖する」という事を通して、力を注ぐ。
  5. 遣わされたチームと共に立ち、必要に応え、福音のさらなる拡大に継続的に参加し続ける。
  6. 宣教の機会が、一つの地域教会では手に負えないほど大きい場合は、地域教会でネットワークを組む。そこには他の組織、戦略も含まれるが、このような組織は地域教会にまさる権威を持つべきではなく、地域教会が用いる事ができる道具として機能するべきである。
  7. 地域教会は、その地域において引き続き整えられ、拡大し、地域社会にイエスキリストの福音をもってインパクトを与えていく。

◆Implications

  1. キリストから託された金銭を用いて、神学校等から来た人に対して、地域教会におけるミニストリーの確立と、賜物とキャラクターがしっかりと認められる前にサポートする事には、慎重であること。
  2. 「短期宣教」か「生涯の宣教」であるかに関わらず、海外で行なわれたすべての働きを、「宣教の働き」と定義してしまいたくなる誘惑を避けなければならない。社会改善、開発、医療の働き、ソーシャルワークなどの働きが、私達の働きの中心的な焦点になってはいけない。これらの働きは、パウロの宣教旅行にモデルがあるように、「宣教の働き」を助けるものとして存在するべきだ。
  3. 「宣教師派遣団体(Mission Organizations)」が、地域教会が委託と派遣の中心であるというこのに、真に献身しているかどうかを吟味する必要がある。
  4. 「宣教団体(Evangelism Organization)」は、多くの場合地域教会がキリストの教会を建て上げることに失敗してきた結果として生み出されてきた。彼らのツールは有効である事を認めつつも、地域教会が信者の生活とミニストリーの中心であるということに、とって変わるものではなく、伝道や弟子訓練を含めて、地域教会が中心にあるべきだということを無視してはならない。
  5. 私たちは、地域教会が私達の第一の優先順位であるように、財務に関して注意を払う必要がある。私達の教会に与えられた時間、賜物、金銭は、一つ心となって「宣教の働き(パウロのモデル:地域教会の確立・成長・増殖)」のために、方向付けされる必要がある。
  6. 地域教会は、リーダー訓練の責任を負っており、彼らを単純に神学校に送ることで、自らの責任を放棄してはならない。神学校などの組織は、「忠実な人に託されたものを渡していく」という働きを、地域教会が行なっていくのを助けるためのツールとしてのみ用いられるべきである。

これって、すごくないですか?
いろいろ考えさせられます・・・。

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